一番いい状態を逃しているお母さんたち

赤ちゃんを持つお母さんたちが逃しているもの。それは、あらゆる「一番いい状態」である。たまに会う女性の友人や同級生がそういった空気を持ち合わせていなかったこともあり、大して気にも留めていなかったが、でもたしかに彼女たちは、一番いい状態を頻繁に逃している。

例えば、バッチリの外見を作ること。

念入りなメイクによそ行きの恰好をして公の場所に行き、素敵ですねとまわりから言われるのにどれだけの前段階があるか。そこには大量のよだれや吐いたミルクが固形化した残骸を洋服の一部に付ける日常からの脱却が必要。つまり、バッチリの外見を作る（一番いい状態）はとても遠い存在なのである。

例えば、おいしい料理を食べること。

産地直送の新鮮食材で晩ごはんを作りました。出来栄えは上々、さあ温かいうちに食べましょうと家族を呼ぶ。いただきますの合掌と同時に聞こえて来るのは愛する我が子の泣き叫ぶ声。「先に食べておいて」の一言を残し、お母さんはその場を去り別室へと消えてゆく。つまり、温かくおいしい料理（一番いい状態）を逃す訳である。

それ以外にも数え上げたらキリがないことは容易に想像がつく。彼女たち以上に一番いい状態を逃している人種がいるだろうか。さあ、こうして現状が分かったならば、早速ねぎらいの言葉をたくさん用意して彼女たちに接そうではありませんか。家族の幸福の源はきっとお母さんにあるのだから。