家族デーゲーム

親孝行の正体を探っていくブログです。

父親の機嫌はプロ野球の結果による

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決して音質の良くないAMラジオから流れてくる巨人の負け戦に、運転席の父親は苛立ちを隠しきれない様子でいた。子どもの頃の日曜日の光景と言えば、まずそれが思い出される。

 

 せめて僕らが車に乗っている間だけは確実にリードしておいてくれ。親愛なる異邦人のクロマティに何度お願いしたか分からない。なぜ父親が巨人好きだったのか訊いたことはない。ただ、我々兄弟の中で巨人は一番強いものであり、男ならその一番強いものに憧れて当然という空気が我が家にあった気はする。

 

正直なところ、自分は野球が好きだったのかそれとも巨人が好きだったのか、よく覚えていない。でも、父親が好きであるものはもちろん子どもも好きさ、と見せることが一つの親孝行だと思い込んでいた節はある。

 

あれから数年が経ち大人になった今、自分にとっての日曜とは何ぞや?と考えたとき、特に浮かばなかった。世間が休日であることを確認する一日。そんなとこだろうか。「いや~、日曜ってのはホントいい奴でね。あいつとはいろんな思い出があるんですよ」。将来、酒の肴にそんなことを語れるようなおっさんには残念ながらなれないらしい。

 

日曜。カレンダーの左端に陣取ったかと思えば、場合によっては右端に移動してみせる。そして、日常に疲れきった大人たちへのご褒美に、祝日と手を組んで長めの憩いを与えてみたりもする。そんな粋なことをする彼には、やはり赤色がお似合いだ。

 

巨人の負け戦に今でも腹を立てているのだろうか。すっかり野球の話をしなくなった父親をバックに、日曜というものにあらためて思いを馳せてみた。あなたにとっての日曜とは一体どんなものだろうか。

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