男と女はいつか別れる運命と言った母親の真意
世の中の多くの母親は、年ごろになった息子が初めて連れてくる彼女を一体どのような気持ちで迎え入れるのか。子どもとしては親が好きそうなタイプを連れていくというのが分かりやすい親孝行なのだろうが。。ウチの話をしよう。
実家のリビングでテレビをたれ流しながら熱い茶をすする母親。そこに息子が初めての彼女を連れてきた。歳は3つばかり上だった。いろいろ訊きたことはあったろう。そこには、気さくに話し掛ける母親の姿があった。ただ、節々に入れてくるフレーズに違和感を発見する。
でも、愛は永遠じゃないしね…。
でも、結婚しなければいつかは別れるしね…。
でも、その相手が正しいかなんてわからないしね…。
当時自分はハタチそこそこだった。まだその娘と結婚するなど考えていなかったし、自分が結婚できる人間だとも思っていなかった。たしかに、結婚したとしても、いや、結婚してもいつかは別れる可能性がある。ただ、これから明るい交際が待ち受けているであろう二人の前でそのようなことを言うなんて。
まさか母さん。この娘は気に入らないからお前の結婚相手としては認めないと間接的に言っているのかい。もしそうだとしたら、あなたかなりネチっこい人なのでは?。どんな時も温かく見守ってくれた記憶の中の優しい母親の姿が少しだけ揺らいだ。
彼女を送り届け帰宅したあと、先ほどの言葉の意図を確認した。「あなたたちの連れてくる娘なら間違いないと思うから口出しはしない」。母親はずっとそう言ってきた。確認しておかねばならない内容だった。母親は簡潔に答えた。あれは一般論よ。
世の中の多くの母親は、年ごろになった息子が初めて連れてくる彼女を一体どのような気持ちで迎え入れるのか。この解明にはまだまだデータを集める必要がありそうだ。父親と娘のそれとはまた違った、興味の深い世界である。