家族デーゲーム

親孝行の正体を探っていくブログです。

オレオレ詐欺。犯人には一刻も早く転職を勧める

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まさかウチの親にかぎってと思ったが、先日オレオレ詐欺の電話を信じたようだ。こっちじゃどうしようもないから何とかしろと言って電話を切ったらしいが、その判断は正しかった。ちなみにもう一人の俺は、なんでも経理部長と一緒に会社の金を使い込んだらしく、420万円が必要とか言っていたらしい。

 なるほど。しかし残念ながら会社に経理部長という肩書きの人間はいないし、そもそも義務教育課程において、「金の使い込み方」という授業は受けていないので、そのストーリーを実行する人間として自分は役不足と言ってよい。

犯人との電話を切ってしばらくした後、なおも心配だった父親がこちらへ連絡したことで今回の事件は発覚した。そのとき父親の第一声は、おまえ大丈夫か?であった。きっと多くの人間がそうであるように、電話口で急にそのようなことを言われたら、何が?としか返しようがない。

今までオレオレ詐欺のニュースを見るたび、「なんでこんなのに騙されるかね。おかしいってすぐに分かりそうなものだが」。特に父親はそうツッコミを入れてきた。先程の電話が自分の息子でなかったと聞かされ、一体どのような心境になったか。詐欺に遭った被害者たちに同情するきっかけにはなっただろう。今回少しだけ関わった人間として、オレオレ詐欺というビジネスモデルを今一度親目線でおさらいしてみよう。

 

ある日突然、子どもから電話が掛かってくる。


何かに巻き込まれ、金が必要であることを告げられる。

とにかく心配でお金を振り込もうとする。

入金したあとで嘘であったことを知る。


自分の不甲斐なさを責める。


人間は歳を取るほどに自信をなくしていくものとよく聞くが、たしかにこの結果はかなり酷である。人によっては立ち直れないかもしれない。今回仮に母親だけで対応していたら詐欺の餌食になっていた可能性はある。

親とは小まめに連絡を取っているつもりだが、その頻度が今より少なかったら、ウチも金を振り込む前に確認の一報を寄越さなかったかもしれない。明日は我が身。この出来事はしっかり受け止めねば。

巷の犯人が第一声でなんと斬り込んでくるかは不明だが、疑いを持たせず速やかに本題へ入るその技量はすぐに身に付くものとは考え難い。「絶対に断られないアポイント術100」的な本を必死こいて読み漁って本番に挑むのだろうか。

1つの見方として勤勉ではあるが、努力して得たものをどのような形で社会に還元していくかという点でよろしくない選択をしている。仮におまえが420万円の犯人ならば。何かの縁だ、転職をすすめる。騙すほうが悪いのか。騙される方が悪いのか。それともそういう問題ではないのか。誰も悪くないと思いたいが、それはきっと大人の世界では通じないのである。

 

ただ、今回の犯人にはひとつだけ功績があった。それは離ればなれに暮らす親子に笑いのネタを提供したことだ。数日後、ほかの用事も兼ねて実家へ電話した。プルプルが鳴る最中いろいろ考えたが、最終的に選んだ第一声は、420万用意できた?であった。親しみの込もった皮肉に受話器の向こうで苦笑いする父親の姿が浮かんだ。

今回の事件をきっかけに父親の態度は変わるだろう。自身に対し戒めを強くするに違いない。こちらとしては、使い込みをすることはないからとにかく電話を信じてくれるなと言ってやりたい。ただ、人間である以上、必ずやらないとも限らない。

とにかく被害に遭わないよう今以上に小まめに連絡を取るに越したことはない。親子共々いろいろ学ばせてくれた犯人にはとりあえずサンキューとでも言っておこう。でもやっぱり何かの縁だから、きみには転職をオススメするよ。

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