家族デーゲーム

親孝行の正体を探っていくブログです。

知らないフリをするという親孝行

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先日、父親がまた一つ歳を重ねた。我々の親世代といえば、だいたい70歳前後だろう。本人は認めないが、70歳といえば初老だ。そんな初老の父親は祝いの酒でも飲み干し、すでに眠りについた頃だろうと予想しながら、一応20時におめでとうコールを鳴らしてみた。

 

電話に出た。ワンコールだった。テレクラかよ!とツッコミを入れた。内心思った。実はしれ~っと待っていたのではないか。冒頭に述べた理由から、まさか電話に出るとは思っていなかった旨を正直に父親に伝えた。すると、「まだ寝らんわい。老人じゃあるまいし」と返してきた。それは良かった。

 

多くの人がそうだと思うが、子どもの深層心理として、親が老いていく姿を確認する瞬間はとても切ないもの。それを感じながらも感じないフリをするのも親孝行の一つかもしれないが、「お前たちの親であるワシが年老いるわけがなかろうが!」などと叱ってくれると、それが少しばかりの喜びとなる。

 

噂によると最近の父親は、企業戦士時代にはまったく見せなかった笑顔というスパイスを日々に振り巻いているらしい。まるでミステリー。一体、彼の身に何が起きたのだろうか。とにかく、年齢を重ねるということ、時間が流れるということは、何かとても尊いもののような気が、彼とのやり取りを通じてしたのである。

 

あと30年くらいで自分も初老の仲間入りだ。先程述べたように、我が子には自分の老いていく姿はできれば見せたくないし感じさせたくないと願う。でもきっとその願いは叶わない。もし叶ってしまえばそれは、人間界の掟に背いたことと同じになる。今回の父親の姿を参考にしながら、恥ずかしくない老い方をしていこうと、しれ~っと考えているところである。

 

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