家族デーゲーム

親孝行の正体を探っていくブログです。

母親の恋の相手は手話だった

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母親が70歳を迎えようとしている。第一印象と比べてずいぶん小柄になったものである。そんな彼女は最近とても忙しいらしく、息子からの電話やメールに音沙汰を返してこない。その都度、「おやおや。これって巷の親子関係と逆じゃないのかい」などとツッコミを入れてみる。

 

その忙しさの原因は手話にある。週に何度か教室に通い、検定を受けているとかいないとか。その影響もあり、最近NHKの「手話ニュース845」をちょこちょこ見るようになった。

 

手話キャスターの一人に那須さんという男性がいる。その手話はとても情熱的で見る者の心を揺さぶる。たまにアクションが大きすぎて、それホンマかいな!とツッコミを入れたりもするが、「人に伝える」とはきっとああいうことを言うのだろうから、ここは微笑ましくスルーしておこう。

 

まあ何はともあれ、70歳を目前にした親が忙しくやっているというのは子どもとして嬉しい限りである。母親の逸話はたくさんあるが、ここでは「語るべきこと」を書いておこうと思う。

 

以前両親と兄夫婦、そして自分ら夫婦の6人でご飯を食べに行ったことがある。そのとき、兄の嫁と自分の嫁に対し母親がこう言ったのだ。「仮にこの子たちと別れることがあってもずっと私の娘でいてください」。ウルッときた。同時に、息子として自分たちにできる親孝行はもうないような気がした。母親のその意見に異論はない。むしろ、そうあってくれ。

 

そのような言葉が出た時点で、母親は十分に幸せな女性である。これからも息子の電話やメールを無視し続け好きなことに時間を費やす、そんな健気な人であってほしいと切に願っている。

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