家族デーゲーム

親孝行の正体を探っていくブログです。

思い浮かべるという親孝行

f:id:kotts:20160930015906j:plain

「自分にできることをただやる」。
これを経験して未だに覚えているものがある。小学校低学年の頃の図工の授業。六角形の箱を作るという内容だった。器になる部分とフタになる部分、それぞれの展開図を画用紙に描き、切り取ったあとに糊付けし、最後に折り紙を貼って好きな模様に仕上げるというもの。

 

途中まで真剣に取り組んでいたのだが、フタと底辺の六角形部分を同じ大きさにしてしまい、フタが閉まらないという大きなミスを犯した。最初から作り直すことになり、そのせいでみんなに大きく遅れを取った。

 

ただでさえ、デザインという作業に苦手意識があるのに、このまま行けばそのデザイン作業である折り紙貼りに時間が取れない。焦った。だが何とか折り紙まで辿り着いた。たくさんある色の中からどれを選ぼうか。決めきれなかった。母さん、どれがいいかな。もちろんそこに母の姿はなかった。完成を諦めかけた。

 

しかし、無模様の作品だけは提出できない。とっさに浮かんだ案を採用し、黒の折り紙だけを使うことにした。それを正方形にいくつも切り、画用紙の白色と折り紙の黒色を交互に配置し、「チェック柄」に仕上げた。母さん、これでいいかな。もちろんそこに母の姿はなかった。晩ごはんの献立を思った。

 

完成したみんなの箱はたくさんの色や形の折り紙に彩られ、とても楽しそうに見えた。それに比べて自分の箱はなんとも寂しげ。うつむき加減に、「図工なんて大嫌いさ」などとふて腐れモードに入った。そんなとき、先生にこう言われた。「キミのは折り紙を1枚しか使っていないのに面白い仕上がりだね。他の誰とも似ていない」。驚きだった。自分はただ、自分にできることを、頭に浮かんだことをやっただけなのに、こんな風に褒められるなんて。

 

この出来事は、大人になるにつれ自分の中のプチ栄誉として自身に語り継くこととなる。なぜなら、当時の先生の言うように、「最小限の素材で他と違うことをやれた」という事実がとても誇らしいことだから。「自分のできることをただやる」。小学校低学年の頃の自分からの教えである。

 

なるほど。とりあえず30代も後半になっちまったけど、昔のキミがそう言うんだからきっと間違いないよね。ひとまず余計なこと考えずにいろいろチャレンジしてみるよ。これからもよろしく!

 

www.kazokudaygame.net

 

© 2016 家族デーゲーム