3番目の帰る場所
「帰省したときに必ずこれをやる」。地元を離れて暮らす人の中でそう決めているナニかを持つ人がどれくらいいるだろう。
もちろん親孝行だ。という社交辞令はさておき、個人的には1号~8号と名づけられた地元の公園を一通り散歩することがそれに当たる。自分の中で公園というものが、家や学校に次ぐ3番目の「帰る場所」であることに数年前に気付いてしまった。
昨年、公園に番号が振られてるとはいえ、それが数字の若い順に造られたとは限らないという仮説を立ててみた。だって、8号公園の遊具のデザインが古臭かったり、1号公園の造園が近代的だったりするんだもの。これらの公園はどうやって設計から建築に至ったのか。想像するにこうだ。
市役所の偉いおっさんが1から9まで数字の書かれたボールを箱から適当に1個選んだ。結果、公園が2~3個できたあたりで番号が虫喰い状態になってしまったのだけれど、「もうどうしようもないじゃん。どうせ最後の公園ができるころ自分は定年退職してるし」などとサジを投げた。次の担当者がその帳尻合わせ的に番号を埋めていったが、時代の流れで遊具のデザイン技術や造園技術が発達し、素人目にもゴマカシが利かないところまで行ってしまった。
まあどんな事情があるにせよ、実際のところその公園が何番目にできたのかは大した問題ではない。たくさん未来のある子どもたちが、そして、少しだけ未来のある老人たちが憩いの場として公園を利用し、そこから楽しい空間が生まれるのであればそれでいい。ああ。俺の3番目の帰る場所たちよ。
子どもの頃、ブランコの上から夕陽に向かってがむしゃらに靴を飛ばしていた。あれからもうずいぶん時が経った。遊具も我々も、お互い体のあちこちに痛みを抱えメンテナンスを必要としている。同じ時代を生きた者同士、これからも仲良くやっていきましょうや。次回の帰省が楽しみである。