家族デーゲーム

親孝行の正体を探っていくブログです。

タクシーラウンジと親孝行

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意中だった女性との思い出話である。酒の力を存分に借りることで互いの会話が和み、気付けば終電を逃すくらいの時間になっていた。たまたま拾ったタクシーは革張りの高級そうなタクシーだった。

 

自分が先に降りることは分かっていたので、彼女が家に着くまでの分のお金を先に渡すことにした。遅くまで付き合わせた申し訳なさ、男の見栄、家に帰してしまう未練。そんな思いをたくさん込めて。

 

タクシーを降りた。彼女を笑顔で見送った。それから自宅前の自販機で水を買おうとした。財布を見るとずいぶん金が減っていた。楽しみにしていた宴だったから、いつもより多めに入れたはずだった。金はどこに消えたのか。いろいろ考えた。一つの仮説が立った。千円札と一万円札を間違って渡したのでは。もしそうであれば、3000円のタクシー代は21000円に跳ね上がる。明らかに法外な金額だった。

 

革張りの高級そうなタクシーだった。もしかして、タクシーラウンジという名の新しい業態ですか。いや、他人のせいにするのは止めよう。完全にこちらのミスなのだから。しかしそうなれば、今日1日の流れを考えた場合、モテないくんが大金をはたいて女性にデートしてもらったという図式にはならないか。仮にあのまま女性と情事が起きていたならば援助交際と取られてもやむなし。

 

警官に囲まれ両手にお縄を掛けられる映像が浮かんだ。お父さんお母さんごめんなさい。親孝行どころかとんだ親不幸を仕出かしてしまいました。新聞には友人のコメントがこう載るだろう。「いや~、まさかアイツがね。すげえいい奴だったんですよ。でも、いつかこういうことするかなって雰囲気もありました (苦笑)」。

 

人間というのはときに優しくときに非情な生きものであることをこういう時に知るのだろうか。女性の上目遣いに負け、酒の誘惑に負け、友人の選び方に負け、人生を破滅に導いてしまった人の話をたまに聞く。タクシーラウンジの妄想を機に、改めて気を引き締めようと感じた夜だった。

 

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