家族デーゲーム

親孝行の正体を探っていくブログです。

喧嘩のすすめ

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自分と友人の腕っぷしの強さの比較は年ごろの少年たちが最も興味を示すものの一つ。昔はゲームセンターにパンチングマシンなるものが置いてあった。

ボクシングのミットのような革張りの丸いクッションにパンチを打ち込んでその衝撃を数値化するゲーム。その数値の大きさによって各レベルに設定された悪キャラが画面上で倒れるというストーリーだった。

 

出てくる数値そのものは実際の喧嘩の強さとは関係ない気がするのだが、子どもたちはそのあたりをよく分かっていないようで、大きい数値を出した人間が喧嘩が強いというロジックがそこで出来上がっていた。それにより、喧嘩が強いと思われていた奴が一夜にして弱い奴へ。そしてまたその逆もまた然りといった光景があちこちで見られた。

 

その状況はまるで、あとからバイトに入ってきた奴が年下だと思っていたのに初日の昼休憩中に年齢を訊いてみたら実は年上だったことが判明した時に似ている。午前中にきいてたタメ口をどのタイミングで敬語に切り替えようか模索していたらあっちの方が先に敬語からタメ口に切り替えてくれたから何だかラッキー。そういった感じである。

 

このように、パンチングマシンと敬語の間には深い関係がある。少年たちは少年たちなりに権力争いの中における自分の立ち位置を模索していたのだと予想する。いじめという物体は我々の時代にもたしかにあった。ただ、今の時代のそれとは異なる「潔さ」みたいなものもたしかにあったのだ。

 

今後ゲームセンターでパンチングマシンを見掛けることがあったら、お礼の言葉でも掛けてみようか。「あなた方がいてくれたから、青春が青春たらしめられて良き思い出として残っているのかもしれません」と。大人になった今、あの頃の少年たちと同じように、権力争いの中における自分の立ち位置を模索する日々は続いていくのでしょう。

 

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