ウソをついてはいけないよ
多くの大人が見落としていること。それは、今の自分が一番幸せであるという事実。「幸せ」というとなんだかフワフワした言葉でくすぐったい。でも他にいい言葉が浮かばないから、とりあえず今はそうしておこう。
その一番幸せである理由。今までたくさんの選択をしてきた中で、「これを選ぶことがきっと一番」と思ってその都度決断してきたはずだから。結果として良くない方向に行ったことはある。でも、選んだ時点ではそれが一番と信じていたはず。「これは２番目にいい道だけど今日はその2番目を選んでお～こう」とはしてこなかったはずだから。
以前あるミュージシャンが逮捕された。捕まったことをどう思うか、といった街頭インタビューが流れた。その企画自体、良からぬ意図がうかがえて気持ちのいいものではなかった。一人の女性がインタビューにこう答えた。「ドラマの主題歌で流れるあの曲でよく泣いていたのに、あの感動は一体何だったんだろうと思う」。
捕まってしまいファンをがっかりさせたのかもしれないが、そのことと数年前に女性が曲を聴いて涙したこととの間に何の関係があるのだろう。それならナニかい。当時あんたの流した涙はウソだったんかい。こういう発言を軽々しくするタイプの人間は、曲に聴き入るだけの感性はないし涙を流すほどの感情も持ち合わせていない。つまり単なるウソつきなのだ。
ウソつきは自分の幸せ度合いを他人と比較することで測ろうとする。でもそれは無駄なこと。今の自分が一番幸せであるという事実は、冒頭に述べた理由からほぼ間違いない。現状を憂いたとしても、それ以上でもそれ以下でもないのだから仕方がないのである。
