気を抜けない間柄
この世の中でもっとも恐ろしい奇襲攻撃。
それは、そこそこの期間付き合った恋人から今日は何の日だ?と、まったく心当たりもないのに訊かれることに違いない。この修羅場をいかに切り抜けるかがその後の人生を大きく左右する。
ある知人からは返しかたを間違ったことで翌日から恋人がいなくなったとの報告を受けている。 自分ならどう返し得るか。「いやいや、それはこっちのセリフだ」と言ってまずは五分の状態に持っていく。先ほどの知人はきっとマイナスからプラスへ一気に転じようとして、いい言葉が浮かばず失敗したに違いない。
まずはマイナスからゼロへ。次にゼロからプラスへの二段構えで行くことを基本とした方が何かと良さそうだ。偉そうなことを書いてるが、その知人とは若かりし日の自分である。知人というより親友ではあるまいか。
返し得る2つめとしてこれはどうだろう。「ああ、今日だよね。たしか、そこそこの期間付き合った恋人から今日は何の日だ?ってまったく心当たりもないのに訊かれてしどろもどろになる日じゃないかな」と冒頭のフレーズを完全に上被せしてみる。
その姿はまるで営業マンが会話の突破口を見出せずに相手の言ったことを復唱することでとりあえずの時間稼ぎをする光景に似ている。そして同じく、その営業マンが若かりし日の自分であることもバラしておくことにしよう。